July 13, 2007

”闇社会の守護神”と呼ばれた男

最近、幻冬舎がしきりに宣伝をしている
田中森一<「反転—闇社会の守護神と呼ばれて」を読了。

とにかく面白い!

「伝説の特捜エースは、
なぜ『裏』世界の弁護人に転向したか」
の惹句そのままに、
”正義”を信じる前半と、
”悪”にも人情を感じる後半生が
対照的な自伝。

官僚が腐敗し、
政治家がヤクザとつるむ、
日本のこれまでの病巣が
ハッキリと分かる”良書”だ。

射殺された山口組若頭・宅見勝から
イトマン事件がらみの許永中、伊藤寿永光、
竹下登、住友銀行頭取・磯田一郎など
そうそうたるメンバーが
バブル時代を生き抜く
田中の後半生に現れては消える。

なかでもある意味で
”痛快”なのが「五えんやの中岡信栄」。
あまり事前の知識がなかったが、
「バブルで一番の蕩尽王」と
田中が言うだけあってスケールが違う。

政治家、芸能人、旧大蔵官僚に至るまで、
ひたすら金を渡す。
田中の記述によれば、
「国会議員だろうが、大蔵官僚だろうが、
ホテルのボーイだろうが、
人を選ばずに誰にでも金品を渡すのである」
というからすごい。
「だから、用もないのにしょっちゅう
ボーイや黒服が部屋にやってきていた」
のだという。

しかし、中岡は、
「成金にはえてしてケチが多いというが。
彼はそんなところは微塵もなかった」
そうだ。
「中岡ほど無造作に
カネをバラ巻いてきた人物はいない。
おそらく、他人に渡した現金だけで
数百億円は下らないのではないか」

このスケールの大きい愚行を読むためだけでも
この本の価値は大いにあると思う。

一読を強くオススメします。

[Books&Magazines] Posted by tokuo | TrackBack
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