少し前に買ったミュージックマガジンに、
先日自殺した音楽評論家・中村とつようさんの
最後のコラム原稿が掲載されていた。
「最後の夜が雨になってしまったのが
ちょっと残念だけど、
でもあたりにハネ飛ぶ汚物を
洗い流してくれるんじゃないかって、
思ってます。
実はこのマンションを買ったとき、
飛び降りるには絶好の形をしてると
思ったんですよ」
老残をさらして、
迷惑をかけたくなかった
ということらしい。
覚悟の自死だった。
長い間、中村とうようさんは
ぼくの音楽の案内人だった。
サンバにはまったのも、
アフリカ音楽が好きになったのも
すべて彼の文章と彼が創った
「ニュー・ミュージック・マガジン」
「ミュージック・マガジン」のおかげだった。
享年79歳。
ご冥福をお祈りします。