最近公開の安藤昇を描いた映画
「渋谷物語」にも登場する花形敬を取り上げた本が
「疵(きず)―花形敬とその時代」だ。
この本については以前書いたが、
その著者、本田靖春さんの名作
「不当逮捕」を再読した。
戦後の混乱期に活躍した
型破りの花形記者、
読売新聞社会部・立松和博の栄光と挫折を
間近で見ていた筆者が、
愛情だけでなく
厳しい第三者的な視点も忘れずに
描ききった傑作だと思う。
バンカラな社会部記者の黄金時代と
検察内部の凄まじい暗闘が
表と裏、陽と陰のように対比をなしていて、
筆者の痛切な想いが伝わってくる。
メディアに関心があるなら、
いちどは読んでみてほしい本。
次に読むとしたら、
「警察(サツ)回り」、
そして本田氏の自伝
「我、拗ね者として生涯を閉ず」を。