May 28, 2005

熱血コーチから学ぶもの

「マネーボール」の著者マイケル・ルイスの
新刊「コーチ」は小著だが読み応えがある。

この本の主人公は、
マイケル・ルイスがニュー・オーリンズの高校で
野球をしていたときの指導者、コーチ・フィッツだ。

マイケルの同窓生が
「母校の屋内運動場を改築して
”コーチ・フィッツ”の名前をつけよう」と提案するが、
一方で、フィッツをくびにしろという声が
現在の生徒や父兄から出ているという話を
マイケルが聞きつけて事情をたずねてまわる。

そして、どうやら、
最近の親の過保護の傾向が
コーチ・フィッツを窮地に立たせている
ということが分かってくる。
校長の話もそれを裏付ける。
「父兄たちは、自分が思い描くとおりに
子供が成功しないときがすまないんです」

これは、アメリカでも
いわゆる熱血指導が通じない
時代になったということらしい。

そこで、マイケルは彼が知らない
フィッツに指導された卒業生に電話して
フィッツに出会った経験をどう思っているかたずねる。
そうすると誰も彼もが口を揃えて言った。
「フィッツのおかけで人生が変わった」

マイケルも書いている。

   グラウンドでたたきこまれた情熱を
   ほかのすべてのものにも注ぎこめば、
   はるかに充実した人生を送れるのだと悟った。

どうやれば人生が変わるのかは
この薄い本を直接読んでほしいが、
どう変わるかはマイケル・ルイスの言葉に
端的にあらわされている。

   まるで、フィッツがぼくの心の中に手を差しこみ、
   さびついていたスイッチを
   ぱちんとオンにしたかのようだった。

[Books&Magazines] Posted by tokuo | TrackBack
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