January 01, 2006

新年を迎えて

昨年末、
楽天監督に就任ということで話題の
野村克也「野村ノート」を読了。

野村氏が
監督をやっていくうえで従っている
5原則があるという。
要点をまとめてみる。

   1.「人生」と「仕事」は常に連動している
   2.人生論が確立されていないかぎりいい仕事はできない
   3.野球をやるうえで重要なのは「目」「頭」「感性」の3つ
   4.技術的能力の発揮には「コツ」「ツボ」「注意点」の3つが重要
   5.無形の力をつけよ。技量だけでは勝てない

そして、監督という職務に対しての基本理念として、
「原理原則を見据えて実戦指導していくということ」をあげている。

   原理原則。野球界にかかわらず、
   どの世界でもそれが仕事をする上での礎となる。
   では、原理原則とは何か。
   それは、”偉大なる常識”であり、「知機心自閑」
   (=機(原理原則)を知れば心自ずから閑なり)である。

よく考えてみればすべての仕事に通じる
あたりまえのことばかりだが、
野球界では、
そこまで考えている人間が
少ないということなのだろうか。

野村氏は、
かつてのヤクルトのような弱いチームでも
他の選手、他のチームを上回る力を得るために
何ができるかを徹底して考える。
そして、
これらを実践するために徹底してデータを集める。
それがいわゆる”ID野球”の本質のようだ。

   ・弱いチームには「うちは他のチームより進んだ野球をやっている」
    という思いを生じさせ、優位感を持たせる(=「弱者の戦法」)
   ・打者のタイプは4つに分けて考える
   ・投手の原点能力(=外角低めのストレートを投げる精度)を確かめる
   ・打者が見逃したときに肩がどう反応しているかをチェックする
   ・配球は、「打者中心」「投手中心」「状況中心」の3つに分けられる
   ・投手は今の持ち球とペアになる変化球(シュートならスライダーやフォーク)を覚えさせる
    (変化球の必要性とは、スピード不足とコントロール不足を補うためである)

などなど・・・。
すべてが具体的で実践的だ。

一方で、
反面教師として巨人の阿部捕手、
西武の松坂投手などを名指しで
具体的にアドバイス(=批判?)する。
要するに、彼らはよく考えていないというのだ。
それがまた辛辣だが的確だ。

野球に関して書かれた本として、
「野球術(上下)」「マネーボール」と並ぶ好著。
一読すると野球観が変わると思う。

ただし、
この本の欠点は自慢が多いこと。
野球のことを具体的に書いた本だからしょうがないが・・・。
しかし、
「年賀状も来ない」といって
古田を名指しで批判しているのを読むと、
ここまでの野球の達人にしても
「人生」を極めるのは難しいと感じる。
まあ、そこがまた野村氏らしいとも言える。

それはともかく、新年に当たって、
野村監督が「心を打たれた言葉」だという
ヒンズー教の教えを肝に銘じて
この1年を過ごしていきたいものだと思う。

   心が変われば態度が変わる。
   態度が変われば行動が変わる。
   行動が変われば習慣が変わる。
   習慣が変われば人格が変わる。
   人格が変われば運命が変わる。
   運命が変われば人生が変わる。

[Books&Magazines] Posted by tokuo | TrackBack
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