昨年末、
楽天監督に就任ということで話題の
野村克也「野村ノート」を読了。
野村氏が
監督をやっていくうえで従っている
5原則があるという。
要点をまとめてみる。
1.「人生」と「仕事」は常に連動している
2.人生論が確立されていないかぎりいい仕事はできない
3.野球をやるうえで重要なのは「目」「頭」「感性」の3つ
4.技術的能力の発揮には「コツ」「ツボ」「注意点」の3つが重要
5.無形の力をつけよ。技量だけでは勝てない
そして、監督という職務に対しての基本理念として、
「原理原則を見据えて実戦指導していくということ」をあげている。
原理原則。野球界にかかわらず、
どの世界でもそれが仕事をする上での礎となる。
では、原理原則とは何か。
それは、”偉大なる常識”であり、「知機心自閑」
(=機(原理原則)を知れば心自ずから閑なり)である。
よく考えてみればすべての仕事に通じる
あたりまえのことばかりだが、
野球界では、
そこまで考えている人間が
少ないということなのだろうか。
野村氏は、
かつてのヤクルトのような弱いチームでも
他の選手、他のチームを上回る力を得るために
何ができるかを徹底して考える。
そして、
これらを実践するために徹底してデータを集める。
それがいわゆる”ID野球”の本質のようだ。
・弱いチームには「うちは他のチームより進んだ野球をやっている」
という思いを生じさせ、優位感を持たせる(=「弱者の戦法」)
・打者のタイプは4つに分けて考える
・投手の原点能力(=外角低めのストレートを投げる精度)を確かめる
・打者が見逃したときに肩がどう反応しているかをチェックする
・配球は、「打者中心」「投手中心」「状況中心」の3つに分けられる
・投手は今の持ち球とペアになる変化球(シュートならスライダーやフォーク)を覚えさせる
(変化球の必要性とは、スピード不足とコントロール不足を補うためである)
などなど・・・。
すべてが具体的で実践的だ。
一方で、
反面教師として巨人の阿部捕手、
西武の松坂投手などを名指しで
具体的にアドバイス(=批判?)する。
要するに、彼らはよく考えていないというのだ。
それがまた辛辣だが的確だ。
野球に関して書かれた本として、
「野球術(上・下)」、「マネーボール」と並ぶ好著。
一読すると野球観が変わると思う。
ただし、
この本の欠点は自慢が多いこと。
野球のことを具体的に書いた本だからしょうがないが・・・。
しかし、
「年賀状も来ない」といって
古田を名指しで批判しているのを読むと、
ここまでの野球の達人にしても
「人生」を極めるのは難しいと感じる。
まあ、そこがまた野村氏らしいとも言える。
それはともかく、新年に当たって、
野村監督が「心を打たれた言葉」だという
ヒンズー教の教えを肝に銘じて
この1年を過ごしていきたいものだと思う。
心が変われば態度が変わる。
態度が変われば行動が変わる。
行動が変われば習慣が変わる。
習慣が変われば人格が変わる。
人格が変われば運命が変わる。
運命が変われば人生が変わる。