January 29, 2006

天才ピッチャーの軌跡

「ただ栄光のために—堀内恒夫物語」を読了。

どこで薦められていたのか
また忘れてしまったが、
一読して、
堀内恒夫というピッチャーを見直した。
彼がいかに巨人の9連覇(そのうちの8連覇)に
貢献していたか、それが一目瞭然だ。
前半は
わが郷土の英雄のスカッとする人生を
スカッと描いている。

それが、
9連覇の次の年から暗転する。

川上は堀内の力が残っているうちに
トレードに出そうとする。
そこからチームもぎくしゃくし始める。
チームが高齢化して
どうしても優勝しようという気迫が薄れてくる。

2位とのゲーム差が開くと勝てなくなるなど
痺れるような緊張感のなかでしか
本当の実力を発揮できなかった堀内は、
少しずつやる気を失っていく。

川上監督が堀内を酷使しつつも
頼らざるを得なかった時代が
一番幸せだったというのが
人生の皮肉を感じさせる。

この「ただ栄光のために」は、
善人と悪人を一面的に
書き分けすぎるきらいはあるが、
「美味礼賛」「監督」同様に
平易な文章でテンポ良く読ませてくれる。
海老沢泰久氏らしい本だ。

それにしても、
監督としては一敗地にまみれた堀内だが、
対戦相手の詳細なメモを持っていたりして、
意外に(?)戦略家の一面を
持っていることも描かれている。

それでも、
自分を表現するのがうまくなく
頼まれると断れない性格というのでは、
野球の監督は辛い仕事だったに違いない。

[Books&Magazines] Posted by tokuo | TrackBack
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