May 30, 2007

死なない人

今日も印象的な言葉に出会った。

日本経済新聞」「私の履歴書」で
映画監督の新藤兼人氏が
亡くなった奥さんの
女優・乙羽信子について書いている。

   (映画「裸の島」で)
   肥桶を担いでください、と言うと
   何の躊躇いもなく
   乙羽信子は「はい」と言った。
   その担げもしない重い物を、
   乙羽信子は担いで
   坂道を上がって行ったのだ。

   人は死んでしまうが、
   死なない人もいるのだ。

抜き出した文章だけでは
分かりにくいかもしれない。

   乙羽信子が
   私に身を投げ出してくれたように、
   わたしも乙羽信子を受けとめた。

はかなく逝った
最初の妻を描いた「愛妻物語」で
乙羽信子と知り合い、
その後、
妻子ある身で男女の関係を結び、
離婚した妻が亡くなった翌年に
結婚したのだという。

   (乙羽信子の十三回忌で)
   墓の前に佇むと、
   センセイ、と呼びかけてきそうな
   気がするのだ。

「わたしにとってかけがのない
唯一無二の女優」という
妻に寄せた気持ちが心にしみる。

[Thoughts] Posted by tokuo | TrackBack
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