内田樹さんのサイトに
先日ぼくも買った
「ゴフィン&キング・ソング・コレクション1961-1967」について
素晴らしい文章が載っていた。
研究所の助手のジェリー・ゴフィンと
秘書だったキャロル・キングの
シンデレラ・ストーリー。
彼らが「Will You Love Me Tomorrow」を
作ったときの話とその分析だ。
キャロル・キングは[i]の音が美しい
(これはわりと例外的なことである)。
だから、ジェリー・ゴフィンは
Will you love me tomorrow を書いたときに、
この若い妻の歌声のうちでも
とりわけ彼が愛していた[i]音を
「きかせどころ」で無意識のうちに
選択したのではないか、
というのが私の仮説であった。
なかなか鋭いと思いませんか?
そして、二人のそのときの心境を
想像してこう書いた。
この歌詞をメロディに乗せているとき、
ジェリー・ゴフィンは21歳、
キャロル・キングは18歳である。
ブルックリンの貧しく若い夫婦が
狭いアパートの台所で(台所にこだわってごめんね)、
自分たちが今、これからあと数十年、
もしかすると百年を超えて歌い継がれる
かもしれない世界的名曲を作り出している
のだという予感に震えている。
その高揚感はいかほどのものであるであろうか。
しかし、この二人、
たしかダブル不倫となって
別れてしまうはずだから、
人生はむずかしい。