May 18, 2008

「生命とは何か」を探す旅

「生物と無生物のあいだ」を読了。

「生命とは自己複製システムである」
「生命とは動的平衡にある流れである」

本書のテーマはこの2つに要約される。
その発見に取り組んだ人々の列伝と
著者自身の経歴を織り込んだ
ミステリー仕立てのエッセイに
しているところが素晴らしい。
帯に「読み始めたら止まらない」
とあるとおりだ。

登場する科学者それぞれの
悲喜こもごもの人生と、
生物の仕組みの不思議と
その裏にある”時間”というものの
非情さがパラレルになり、
ある種の諦念が通奏低音となっている。

それが、
哲学的な書としての魅力も醸し出していて、
理系の本ながら文系でも
興味深く読める本にしている。

最後に置かれた、
「私たちは、自然の流れの前に跪く以外に、
そして生命のありようをただ記述すること以外に、
なすすべはないのである」
という文章を読むとき、
読者は生命と人生について新たな視点から
眺めていることに気づくはずだ。

すべての人に強く一読をおすすめしたい。

しかし、
けっして簡単な読み物ではないこの本が、
50万部以上売れているというのだから、
日本の未来にも期待を持つことができるかもしれない。

[Books&Magazines] Posted by tokuo | TrackBack
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