July 03, 2008

贔屓の店

いつもズバッと
説得力のある意見を述べている
評論家・山崎元の「王様の耳はロバの耳!」で、
ちょっと寂しい話を読んだ。

旨い焼き鳥が食べたい

   その「鳥●」には、数年前まで素晴らしく上手い焼き手が居た。

   店に最初の変化が訪れたのは10年くらい前だっただろうか。
   この焼き手が、おそらくは突発性難聴で、耳が不自由になった。

   もともと寡黙な人だし、
   それで私としては何の不自由もなかったのだが、
   本人は時々いらだたしそうにすることがあった。
   事情を知らない客とは、時々意思の疎通を欠くことがあったようだ。

この職人さんの焼鳥を
ぼくも食べたことがある。

「東京一うまい焼鳥屋だよ」と言う
仕事上の知り合いに
連れて行かれたのが何年前だったか。
10年近くになっていると思う。
すでに職人さんの
耳の調子が悪かった記憶がある。

「おいしいけれど、一番じゃないと思うよ」
とぼくは言って、その知人を、
「バードランド」へ連れて行ったっけ。

いま思えば、
豪華さとか贅沢さを除けば、
そして肉の質、
あるいは管理のわずかな差を除けば、
焼き手の実力は、
けっこう拮抗していたのかもしれない。

実は、職人のいらだちが
伝わってきてしまうのがいやだった。
そして、
美人の女将が知人と仲良すぎるのが
気に入らなかったのかもしれない。
(知人がモテるのが嫌というより、
店の人間が客とジャレる店が嫌いなのです。
誤解なきように・・・)

長い年月を経てハガキを交わすほどの
客と職人の関係の記憶が
とにかく輝かしいものだけに、
店の雰囲気、寿命というものが
とても儚いものに感じられる。

客商売の難しさを痛感させられる話だった。

   「上手い焼き手が焼いた、
   香ばしく焼けた焼き鳥がまた食べたい」

読んでいるうちに、
焼き鳥が食べたくなってきたぞ・・・。

[Food&Drink] Posted by tokuo | TrackBack
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