December 04, 2005

オシムにとっての”言葉”の意味

「オシムの言葉—
フィールドの向こうに人生が見える」
を読了。

ストイコビッチを主将とする
伝説のユーゴスラビア代表を率いた
オシムの栄光と挫折。
ユーゴスラビアが崩壊し、
内戦が起こる中での苦悩。

以前に紹介した
「ディナモ—
ナチスに消されたフットボーラー」
と並ぶ、
サッカーと人生を考えるのに
極めて有用な本だと思う。

「言葉は極めて重要だ。
そして銃器のように危険でもある。
<中略>
新聞記者は戦争を始めることができる。
意図を持てば世の中を
危険な方向に導けるのだから。
ユーゴの戦争だって
そこから始まった部分がある」
というオシムの言葉をいくつか引用してみよう。

まず、サッカーそのものについて。

「一番強調したのは
ボールを動かすということだ。
サッカーとは戦術が一番だと思っている
監督がいるかもしれない。
しかし私はムービングこそが、
最も重要だと思っている」

「阿部(勇樹)に
守備だけのことを
言っているわけではない。
普通攻撃の得意な選手は、
守備が苦手だ。
つまりその攻撃の得意な
相手のキーマンは、
攻守が変わればとても
危険な阿部をマークせざるを
得ないということだ」

そして、
選手たちを虜にするオシムの魅力について。

「監督に、最後の佐藤のシュートが
残念でしたね、と聞いたんだよ。
そうしたら、
『シュートは外れるときもある。
それよりもあの時間帯に、
ボランチがあそこまで走っていたことを
なぜ褒めてあげないのかね』
と言われたよ」
(佐藤勇人に記者が話しかけた内容。
勇人は聞いて全身が痺れたという)

「僕ね、試合中に監督の指示が
直接聞こえるんですよ。
<中略>
セルボ・クロアチア語だし、
みんな聞こえていないと思うのに(笑)、
なんで俺・・・・・。
走っていても、遠くにいても
監督の声や意味が届くんです。
分かるんです」(阿部勇樹)

[Books&Magazines] Posted by tokuo | TrackBack
Comments
Post a comment









Remember personal info?