January 09, 2006

ユーモアの効用

ヤンキース監督ジョー・トーリの本
「ジョーからの贈りもの—若きサムライとの日々」を読了。

スポーツライターの二宮清純氏が
”2005年の3冊”のうちの1冊として
推薦していたので読んでみた。

編集のせいか重複等があって
ややまとまりが悪いが、
トーリ監督の成功の秘訣が
彼の正直な述懐によって明かされている。

NY市警の刑事だった父親の
暴力におびえた経験が
怒らず穏やかに指揮を執る
彼のスタイルにつながっていること。

「一度信頼した選手をとことん起用し続ける」ことで
”選手寄りの監督”という批判を受けても
選手との信頼関係を大事にすること。

そして、百二十パーセント以上の
力を発揮することは求めないと言う。
「大切なのは能力以上の力を出そうと
力んだり、頑張ったりしないこと。
そして、仕事やそのほかの局面で
何かをしなくてはいけないとき、
その力を百パーセント以上
出そうとしすぎないようにすること。
・・・
いずれにしても、
人間はその能力の高さ、大きさを
まず自覚することが大切なのだ」

そして、
ヤンキースのような猛者たちの集まりでは
1対1のコミュニケーションを重要視しているという。
「ミーティングは最小限に」
「選手に関して
何か気がついたことがあれば、
チーム全体にではなく、
必要に応じて直接、
選手個人との時間を持って、
話をすることにしている」

印象的なのは、
人間関係に関して重要なのは、
「プラス思考」と「ユーモア」と「平常心」
だと言っていること。

仏頂面がトレードマークとも言えるトーリ監督が
実際にどんなユーモアを使うのか
実例はなかったように思うが、
ワールドシリーズの試合前のミーティングで
松井秀喜に”何かしらの演し物”をやらせるなど、
他人のユーモアを引き出して
雰囲気を和ませる技にたけているようだ。

さまざまな浮き沈みを経験してきたトーリ監督が
その野球哲学を語り尽くしたこの本は
ビジネスも含めたチームワーク、
人間関係について示唆の多い本となっている。
一読をおすすめします。

[Books&Magazines] Posted by tokuo | TrackBack
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