May 07, 2006

GWに読んだ本2冊

この連休は、まず、
「黒田清 記者魂は死なず」を読んだ。

大阪読売新聞社会部で、
客観報道というよりも
生身の生きている人間を伝えようと奮闘した
ジャーナリストの評伝。

自らの筆の力を頼りに
「報道とは伝えることやない。訴えることや!」と
主観をあえて入れた記事で
圧倒的な支持を得たところが真骨頂。

戦争について
新聞記者自らが語ることによって始まった
『戦争』のシリーズや、
読者からの手紙を紹介するコラム『窓』など、
泣かせる文章もうまいが
そこに登場する人たちの人生がまた感動的だ。

三菱銀行猟銃殺人事件で
犯人も警察も動きがないときに、
「○時○分、こんなドキュメントあかんと、
社会部長が怒鳴る」
で始まる記事を作ったということに象徴される
”ドキュメント指向”を考えると、
彼はジャーナリストというよりも
ノンフィクション・ライターだったのかもしれない。
その意味で、
同じ読売出身の本田靖春に通じるものがある。

読売新聞社内における
黒田を裏切る人たちのドロドロした人間関係や、
彼自身の弱みも描いて
キレイ事だけに終わっていないところが
読み応えとなっていると思う。

もう1冊は全く違う傾向の
「 ライトノベル「超」入門」

この本は、
「ライトノベルは、
いわゆる”ジャンル・フィクション”ではない」
「同世代感、同時代感、ライブ感、を重要視した小説」
という言葉に尽きる。

その理由については
実際に読んでもらいたいが、
初期に蔑称として使われていた
「字マンガ」という言葉が
意外に本質を表しているという指摘は、
なかなか分かりやすかった。

読み終えた後に、
本書の中で紹介されている
歴史的な名作ライトノベルを読んでみたいな、
という気にさせる点からいっても、
「入門」の役割は
じゅうぶんに果たしていると思う。

[Books&Magazines] Posted by tokuo | TrackBack
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