July 20, 2012

要約と文体と

「小田嶋隆のコラム道」を読了。

いわゆる文章読本だが、
読んで面白いのは珍しい。
ウェブ上の週刊連載で
ふらふら休載しながら続いていくのが、
まるで仕組まれているかのようだ。

”次回の話題は
「モチベーション」ということにしよう”
とキッパリ断言しておきながら、
次の回が3ヵ月後だったりして、
書き出しがほとんど言い訳で
始まっているのも味わいになっている。

ぼくが実践に役立つと思うのは、
まず、
第十二回「すべては要約からはじまる」。

   初心者は、とりあえず、…
   「書き起こす」能力を身につけることからはじめる。
   これが最も効率的でシンプルなレッスン法だ。

   自分のオリジナルの考えを書き起こすよりは、
   すでにあるもの(ドラマでも、小説でも、映画でも何でも良い)
   を利用したほうが合理的だ。

そして、
文体とはたんに「文章のスタイル」だとする
第九・十回「文体と主語(その1・2)」。

   私は、個人的には、文体の問題は、
   半ば以上は主語の問題であるというふうに考えている。
   すなわち、主語をどうするかによって、
   文体はおのずと決定するもので、
   逆にいえば、主語が定まらないと
   文体は定着することができないということだ。

あとは、
第十三回「裏を見る眼」で視点の問題がクリアできれば、
なんとかコラムニストができあがりそうだが、
これがいちばん難しいだろう。

でも、
小田嶋氏のこの本を読んで感じた
彼のコラムニストとしての真骨頂は、
やはり、オチ(と、それに伴う毒)にあるように思う。

   いまの若い人たちの描写力は、
   私が若者だった時代よりも明らかに高い。
   これは、認めざるをえない。
   …
   あとはたくさん読んでたくさん書けば、
   いやでも文章は練れてくる。
   でもまあ、頭の中身が練れてくるのかどうかは、
   今後の生き方と放射能しだいだ。
   健闘を祈る。
   (「すべては要約からはじまる」)

[Books&Magazines] Posted by tokuo | TrackBack
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