November 09, 2012

ベートーヴェン/ピアノ協奏曲全曲演奏会

ベトナム出身の
ショパン国際ピアノコンクール覇者、
ダン・タイ・ソンの2夜にわたる
「ベートーヴェン/ピアノ協奏曲全曲演奏会」を、
錦糸町すみだトリフォニーホールで聴いてきた。

オーケストラは、
クラウディオ・クルス指揮による
新日本フィルハーモニー交響楽団だ。

第1夜
・ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第1番 ハ長調、
 第2番 変ロ長調、
 第3番 ハ短調

第2夜
・ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番 ト長調、
 第5番 変ホ長調「皇帝」

2夜ともに座席は2階3列26番。
ちょっと遠いけど、
ピアニストの手元はよく見えるし、
音のブレンド具合は悪くない。
(ただし、2夜とも少し席が離れたおじさんが
鼻をかんだり物を落としたり、
のべつまくなし雑音を出している以外は・・・)

ダン・タイソンのピアノは、
まるでショパンの曲のように
コロコロと可憐に響く高音と、
決然と弾かれる強靭な低音が
演奏の幅を大きくしている。

第1番は、
あくまで軽やかな演奏だった。

じつは第1番より
先に書かれていたという第2番は、
ピアノの音が自在に飛翔して、
大変な名演だったと思う。

第3番は、前の2曲よりも
緊密な一体感と迫力が感動的だ。

初日の後は、
トリフォニーホール帰り恒例の
「とり喜」で遅い夕食。
おまかせコースを頂く。
絶えずうちわで扇いで
煙り臭さのほとんどない焼き鳥は、
あいかわらずの美味しさだ。

第2夜は、
前夜より多い9割方入った聴衆。
その前で、
第4番は快調に軽快に演奏された。

新日本フィルも、
すべての曲を通して
まったく不安を感じさせない。
気持ちよくて
寝てしまわないようにするのが大変だ。

今回の白眉は、
やはり第5番「皇帝」。
ベートーヴェンらしい
威風堂々とした重厚さと、
現代的な軽やかさが
高いレベルでともに実現している。
指揮者クルスの
手さばきによるところ大なのだと思う。
ダン・タイソンのピアノは、
全曲最後の高揚感を存分に表現して、
盛り上がりに盛り上がる。
これは素晴らしかった!
誰もが歓声をあげながら拍手を送る。

魔法のようなタッチで、
弾けた音が煙のように消えていく
アンコール曲ドビュッシー「花火」まで、
雑音も忘れて
ダン・タイソンの手元しか見えなくなっていた。
それくらい魅き込まれる演奏だった。

大満足でした。

[Music] Posted by tokuo | TrackBack
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