写経して無の字の多き寒さかな(末吉ミヨ)
今日の日経朝刊の1面コラム
「春秋」に引用されていた句。
100歳を過ぎて出版した句集からだという。
「300字にも満たない般若心経にある「無」は21」
なのだそうだ。着眼が鋭い。
芝不器男俳句新人賞受賞の
御中虫(おなかむし)さんの
第一句集にして受賞記念句集の
「おまへの倫理崩すためなら
何度でも車椅子奪ふぜ」を読んだ。
これまでの概念を突き崩す句の連続に震撼。
共食ひはまうやめました鰯雲
イナビカリ目ノ白黒ハ反転ス
去年今年かたっぱしから火にくべる
セロリ噛むようにさくさく忘れてやる
句集に載っている坪内稔典さんの讚
「俳句のやっかいきわまる
虫になることに賭けたのである」に同感。
今後も大活躍を期待したい。
・・・つづきを読む日経歌壇2011年の秀作(上)
岡井隆選から。
「実際に目撃した人でなければできない歌」と
「暗い世相をあらわした歌」を。
ある日突然道を漁船が行き交いぬ
朝市開かれし岩壁越えて(八戸・村田夫紀子)
ひっそりと裏口から来てのさばると
言うではないかファシズムも死も(京都・岩瀬順治)
そして、
日経俳壇2011年の秀作(上)
黒田杏子選から心に残った句で
これまで見逃していたものを。
海嘯(うそぶ)けば春無惨祈りけり(東京・古川かふじ)
三月の十一日を生きて詫ぶ(平川・田口昭子)
広島の長崎のああ福島忌(広島・保井甫)
茨木和生選から
蛤となっても被曝する雀(大船渡・桃心地)
「?」という感じだが、
「雀が蛤になるとは、
荒唐無稽(こうとうむけい)な想像だが、
雀と蛤は色やかたちが似ており、
それでこんな季語が生まれたのだろう」
(週刊:新季語拾遺 2002.10.13)
という意味を知ってから読むと、
茨木さんの解説によって痛切さが見えてくる。
「空にいた雀のときも被曝し、
蛤となって海中にいても被曝する」
悲しんで泣いてくださいお盆です 東京 小山周一
黒田杏子氏の選評は、
この選句欄では異色の一行だとしながらも、
「何度も繰返しくちずさんでみる。
静かに心に拡がってゆく十七音字だ」
とのこと。
確かに何度も口ずさんでいると、
平明な句が身に沁みてくる。
今日の日経俳壇の黒田杏子選に
心ひかれる句があった。
瓦礫にあらず我が家にあらず溽暑 大船渡 桃心地
逃れ来てまだこの世なる夏料理 仙 台 木戸 月彦
溽暑は「じょくしょ」と読み、「蒸し暑いこと」という意味だという。
(じょくしょ【溽暑】の意味 - 国語辞書 - goo辞書 )
気が付いたら、桃心地さんは
「さくらさくらさくらさくら万の死者」の
作者でもあるんですね。
「今週の日経俳壇にあった句が頭から離れない」(日経新聞「春秋」)
4月24日の日経俳壇に載った
東日本大震災を詠んだ句についてのコラムだった。
その句がこれ。
さくらさくらさくらさくら万の死者 岩手県大船渡市・桃心地
選者の黒田杏子さんは「国民的鎮魂歌」と評した。
新聞で読んだ当初は、
ちょっと技巧が過ぎるような気がしたが、
やっぱり「頭から離れない」。
これが言葉の力なのでしょうね。
ちょっと時間が経ってしまったが、
日本経済新聞俳壇「2010年の秀作」から
気に入ったもの。
やはらかき冷たさ桜ひらきけり
大津 波良 孝(黒田杏子選)
奴隷渡りきオハイオ川の水澄めり
城陽 山崎隆代(茨木和生選)
今回は意外に少なかった。
今日の朝日新聞に
各選者の2009年の1句というのが載っていた。
気に入ったのは、稲畑汀子さん選の句。
声までも紅葉に染まり戻りけり (旭川市)大塚 信太
もう1句、長谷川櫂さん選の句。
河馬二トン春水二トン動かせり (埼玉・宮代町)鈴木 清三
・・・つづきを読むちょっと気に入った句を
朝日新聞「俳壇」で見つけた。
天高し話が全然通じない 矢野美与子
金子兜太氏の選評は、
「あんまり高いので、
天と話が通じない、と受け取る。
大味でとぼけた感じの楽しさ。
人どうしの会話ともとれるが、
それでは小さい」
新聞書評欄のインタビューで見て、
読んでみたかった
大高翔「漱石さんの俳句」を読了。
意外にのんびりとして若々しい
夏目漱石の俳句を
楽しい解説付きで楽しませてもらった。
今月の日経「私の履歴書」は
俳人の森澄雄さんだった。
勲章ももらっているという彼が
どのくらい偉い人なのか知らなかったが、
文章の合間合間に挿入されている
彼の俳句があまり心に迫ってこなかった。
第1回、第2回から
いくつか句を引いてみる。
白地着て白のしづけさ原爆忌
翁とともに酷暑を歩きいくさの日
夕凪はわが播州も長崎も
つくしんぼうはうしこと呼ぶふるさとは
久しぶりにハッとさせられる俳句に出会った。
八月や人体といふ可燃物 岡山 大本武千代
もうひとつには、ニヤッとさせられた。
天敵のなき筈の妻杉花粉 町田 枝沢聖文
ともに、日経新聞の俳壇「2005年の秀作(下)」より